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2023-02-24 09:09:00

1月20日(金)に、山形大学地域教育文化学部・山形県教育委員会連絡協議会を開催しました。

本協議会は、山形県下の教育の発展と教育水準の向上を図るため平成17年に設置され毎年意見交換を行っております。
近年は、コロナ禍により開催が見送られておりましたが、当日は、県教育委員会からは髙橋教育長をはじめ12名の方から出席いただき、また、山形大学からは地域教育文化学部長、附属学校園の各校長・園長はじめ19名が出席し、数年振りに対面による協議会を開催いたしました。

今年度の協議会では、山形県の抱える教育現場の課題、大学の教員養成の取り組み、県教育委員会と山形大学が連携して行う研修のあり方、附属学校の新たな取り組み等を中心に種々意見交換と活発な議論が行われました。

県教育委員会からは、教員研修や新学習指導要領に対応する県の取り組みの紹介等の説明、地域教育文化学部からは、教員を目指す学部学生や教職大学院の院生の修学状況の説明、取り組み等の実例を交えての紹介もあり、1時間半に渡る会議は、お互いの理解を深めるとともに山形の地域課題を再認識した貴重な場となり、今後も継続的に議論していくことを確認し閉会しました。

(会議の様子)

 

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2023-01-19 17:11:00

2022(令和4)年12月18日(日)に山形大学小白川キャンパスを会場にして、第10回やまがた教員養成シンポジウムを開催しました。
このシンポジウムは、大学院教育実践研究科と地域教育文化学部、東北文教大学、公益財団法人やまがた教育振興財団が主催し、山形県教育委員会の後援をえて、開催したものです。

当日は、61名の参加(対面23名、オンライン38名)がありました。 本シンポジウムのテーマは、「世代交代がすすむ山形県、これからの教員の研修と養成をどうすすめるか」でした。
現在、山形県では、新規採用者については、教員志願倍率が低下する一方、大量採用されている20代後半から30代前半の教員層の力をどうつけるかが課題となっています。また、40代からの教員層がうすく、今後の学校経営を担う人材の養成についても大きな課題となっています。こうした問題状況は、山形県だけではなく、全国的に共通するものと考えられます。そこで、本シンポジウムでは、これからの教員の研修と養成の在り方について、大学、学校、行政、そのほかの皆さんと広く意見を交換したいと考えました。
最初にお二人の先生からご講演をいただきました。
はじめに、福井大学の理事・副学長の松木健一氏です。氏は、臨時委員として参加されている中央教育審議会での議論を紹介しながら、教員養成から教師教育へという展望とそれを担う大学教員のコミュニティについて話をされました(オンライン参加)。
次に、福井大学連合教職大学院の森田史生氏です。氏は、これまで、教員として、あるいは福井県教育総合研究所の研修課長として教職大学院に関わり、現在は、教職大学院の実務家教員としてお勤めです。福井県における学校と行政、大学の連携の実際とそこでの学校や教職員の変容について話をされました。 質疑応答と討論では、活発な質問と講演されたお二人の応答がありました。

・学校改善における校長のリーダーシップと同僚性の構築については、中央教育審議会で管理職の資質・能力が議論になっている点や福井県における校長のスクールプラン(学校経営方針)を教職員が協働で読み解く取り組みが紹介されました。
・学部段階から、教職大学院の「理論と実践の往還」を位置づける今後の体制整備については、学部4年間を、教員になるための準備教育ではなく、生涯にわたる教師としての職能成長の一部として位置づける点が示されました。(その意味で、「理論」は実践者の外側にあるのではなく、実践者の内側にあって素朴なものから精緻なものへ洗練されていくものだと強調されました)。

このほか、教員の世代間を越えたクロス・セッションや学校改善におけるカンファレンスの方法への質疑応答もありました。
シンポジウムの事後アンケートでは、次のような声がよせられています。

・行政の研修も校内研修もパッチワーク型というお話には、反省しつつ納得しました。校内研修を、1年間あるいは数年を見越してデザインしていくこと、教員個々と面談しながらいかにその個性が生かされるよう助言していくか、校長としての役割は重いですね。
・何より、現在の研修スタイルは何十年も経過している。校内授業研においても、さらに指導主事の指導も何十年も同じことをやっている。違う目線で教育事務所の学校や教員への指導を考えていきたいと考えているのだが。
・研修には研修を主体的に受けとめる教員の姿勢はもちろんですが、それを支える学校組織のあり方や、研修の普及をどのようにすすめていくかが大切だと考えます。大学院での学びをどのように職場に活かすのか、個人のもので終わらせないためにはどのようにすればよいのか、ヒントをいただけたように思います。
・場違いなところにきてしまったかと思いました。しかし、これからの教員研修は、大学、附属学校、県教委等が垣根を越えて連携していくことが大切になることを実感し、大変勉強になりました。時間も資源も人材も限られているので、各組織の強みを出すことができる連携を考えていきたいと思いました。

コメントには、参加者それぞれの立ち位置から、これからの教員の研修と成長について考えを巡らせている様子が述べられていました。本シンポジウムは、今後の山形県における教員の研修と養成を考えて行く第一歩になったと考えています。 (江間史明・宮舘新吾)

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2022-12-02 08:36:00

1218日(日)に、第10回やまがた教員養成シンポジウムを開催します。

テーマは、「世代交代がすすむ山形県、これからの教員の研修と養成をどうすすめるか」です。

対面とオンラインで開催します。多くの皆様の参加をお待ちしています。

内容と申込方法等については、下記のシンポジウムご案内のチラシをご覧ください。

 

pdf 第10回やまがた教員養成シンポジウム.pdf (0.41MB)

 

2021-12-20 16:27:00

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 令和3年12月5日(日)、12月11日(土)、12月19日(日)に「第4回学びのフォーラム」を開催しました(主催:大学院教育実践研究科・地域教育文化学部、後援:山形県教育委員会)。

 フォーラムでは、これまでに引き続き、「学ぶとはどういうことか」を主題に、高校生・大学生・社会人の合同でゼミナールを行いました。平成27年度から、高校生と大学生を対象とした合同ゼミナールを始めて、今回で7回目です。

 今年度は、3回の開催で合計150名(高校生75人、大学生20人、社会人55人)の方に参加していただきました。参加した高校は、次の16校でした。新庄北高校、東桜学館高校、寒河江高校、谷地高校、山形東高校、山形西高校、山形北高校、山形中央高校、長井高校、南陽高校、米沢興譲館高校、米沢東高校、酒田東高校、酒田南高校、新発田南高校(新潟県)、静岡学園高校(静岡県)。ホームページをみた県外の高校生の参加もありました。

 今年度の学びのフォーラムでは、対面/オンラインのハイブリッド型開催に新たに挑戦しました。各回11名から15名のオンライン参加者がありました。宮城県南三陸町や宮城県仙台市などの県外に加え、山形県酒田市、鶴岡市、新庄市からの参加者です。対面の教室では新型コロナウイルス感染症への十分な対策をとる一方、オンラインは、感染症対策にとどまらず、参加者の広がりを促すメリットがありました。

 

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対面会場の様子 オンライン配信の様子

 合同ゼミナールのテキストは、佐伯胖『「わかり方」の探究』(小学館)です。全3回、森田智幸准教授がコーディネーターを担当しました。3回目の12月19日には、テキストの著者である佐伯胖氏(東京大学名誉教授)に対面で参加いただき、適宜コメントと、最後に総括として講評をいただきました。

 12月19日は、テキスト第3章「『遊ぶ』ということの意味」の節を読み、「学び」と「遊び」の関係について、特に、「遊び」の中で起こる「けんか」について考えました。「けんか」はよくないことだと思ってきたにもかかわらず、テキストでは、「対等なけんかをしましょう」とされている点、また、「遊びと学びが渾然一体」と述べられていることと「けんかをすることの意味」との関係について、よくわからないという疑問が高校生から出てきたことがきっかけです。

 会場のグループからは、周囲からの評価を気にしてしまい「けんか」をしないようにしていることへの気づきや、けんかの仲裁が保育者または教育者側からの基準に基づいてなされてしまっていることへの気づきが出されました。

 佐伯氏からは、きちんとけんかをするように促す保育の事例が紹介されました。遊び道具として台車を取り合うけんかをした2人の子どもがいたとき、けんかに勝ったほうに、見ていた2歳児が「〇〇ちゃん、それで本当に遊びたかったのね」と声をかけたら、勝った方の子どもが台車を手放し、けんかをしていた子どもと一緒に遊ぶ方法を考え始めたということでした。「けんかをやめなさい」と大人が介入してもこのようなことは起こりません。相手と真剣に向き合うからこそ、本当にやりたかったことが結果として見えてくるというお話でした。J.デューイが、著書How We Thinkの中で、遊び心playfulと真剣さseriousとは、同時に成立しうると述べていることも合わせて紹介されました。

 

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講評を行う佐伯胖氏 ディスカッションの様子

 この佐伯氏の話を聞いて、ある高校生は、日常の出来事と重ねて、友達に何かを教えようとしたとき、わかっていたつもりだったことが、実はわからなかった自分に気づいた経験を紹介してくれました。その経験は、友達に何とか教えたいという真剣さの中に、見えてきた、それまでは見えていなかった自分の姿なのかもしれません。

 この学びのフォーラムについては、サテライト会場の設置など山形県内他地区においても開催してほしいという要望をいただいています。その期待に応えられるよう、来年度以後も開催形態を模索していきます。来年度も、参加者が直面している「学び」の場を再考する場として、本フォーラムを開催します。皆様のご参加をお待ちしています。

以下に、参加者の方からいただいた感想を一部紹介します。

 

【高校生】

・立場や年齢、性別や環境など、違うことだらけの人が集まって同じことについて議論し合うことで、新しい立場から見ることができたり、だれかの発した一言で、自分の中で納得ができたり、一人では思いもつかなかった考えにたどり着くことができて、とても良い経験になった。

・佐伯先生のお話を実際に聞けて良かったです。抽象的なものごとについて熱中して話し合ったのが初めてでした。すごく楽しかったです。来年受験生ですが、来たいと思います。

・フォーラムの参加2年目で、自分の視点の変化を顕著に感じられた。どうやら、佐伯さんの言葉を借りると、私は、まさに「シラケ」の状態らしい。本来の「遊び」、「学び」を取り戻し、「シラケ」から脱する。今回のゼミを通して、その方法のヒントを得られた気がする。

・今回このゼミナールに参加して、最初は上手く話せる自信がなく、緊張していましたが、グループの中で話し合いをしていく中で、話している時に、共感してくださったり、色々な引出しを出してくださって、こんなに話せると思わないくらい自分の自由な意見が言えて、とても楽しかったし、いい経験になりました。いろんな考えをもっている方がいて、「楽しく学ぶ」ための教職に興味を持ちました。今日は本当にいい経験になりました。

【一般(社会人)】

・1年生の担任をしていて、けんかがこんなに起きるんだ!という毎日を送っている。担任間で話をしていると「けんかがいじめにつながってしまう」という話題になることも多々あり、いつも引っ掛かりを持っていた。今日、佐伯先生の話をきいて、私がすべきことは、とことん付き合っていくことであり、願いや思いが何か探り、聴くことだとわかった。私が今まで考えていたものは、本当のけんかではなかった。相手の考えや自分の本当の一面に気づく喜び、おもしろさを感じることが欠けていた。こんなところで学びとけんかがつながるとは。毎年参加し続けることの醍醐味を感じた。

・このフォーラムでは、高校生や大学生、いろいろな人と対話することでいろいろなことが見えてくるし、考えることができると感じました。テーマは難しいけれど、教育者としての原点(ベース)となるところを考えることができると思いました。

・何回か参加していますが、同じテキストを読んでも、その度に気づくことがあり、とても勉強になります。明日からの仕事、実践がまた変わりそうです。考えさせられる機会を頂き、ありがとうございました。

(担当:森田智幸(文責)、江間史明、山科勝、石垣和恵)

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コーディネーターの森田智幸准教授 地域教育文化学部の大森桂学部長も参加。
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